先日、川越・呉服笠間さんにお伺いしてきました。 呉服笠間さんは、1910年に川越で創業した、川越唐桟を取り扱っているお店です。 翌日が、川越まつりということもあり、 街はお祭りの準備で我慢できない様な、ワサワサとしていました。 お伺いする前に、川越の名物の太麺焼きそばを、まことや本店でいただきました。 美味かった♪
川越唐桟は織り方で、双子織りと、平織りの2種類あるそうです。
こちらの2反は、笠間さんで販売されている川越唐桟で、 右が双子織り算崩(さんくず)し、 左が平織の縞になります。 どちらもとても上品で絹のような手触りです。 アップを撮り忘れてしまったので上の画像の拡大ですが、 算崩しがおわかりになると思います。
右の双子織りの方が番手が大きく、薄く軽やかです。 左の平織りは、双子織りと比べると少し地厚ですが、きめ細やかさは変わりありません。 無論、まったく同じと言う訳ではありませんが、 極私見で言えば、綿薩摩に近い感じだと思います。 お手に取る機会がありましたら、ぜひ、お確かめください^^
少し話しがそれますが、最近少し思っていることがあります。 木綿の着物は、日本酒の地酒や、ウイスキーのシングルモルトの様に、 地域ごとの特性が強いと思っています。
初めて着物をお仕立てする方に、木綿の着物を勧められることが多いと思います。 私も、低価格であること、自宅でお手入れができることから、 木綿をお勧めすることがあります。
でも、木綿の着物といっても、三河木綿、久留米絣、今回ご紹介する川越唐桟も、 すべて「木綿の着物」で一括りにされていますが、それは少し無理があると思っています。 地酒や、ウイスキーのシングルモルトの様に、個性が強い様に思います。
そこで生まれるのが、 産地の特性と、販売側が一括りにしている事での、 弊害だと思っています。
今でも小売店さんでよく聞くのが、 「木綿の着物?安物でしょ」 「木綿なんて貧乏くさい」 という声。
そして、そうおっしゃる方の多くが、 ・現物を見たことがない ・触り比べたことがない ・従来の情報の思い込み ・上代でしか商品の価値を決めていない ・その方の着用経験が少ない ケースがほとんどのように感じます。
強くて丈夫で普段着で着られる着物もあれば、絹の様な木綿の着物もあります。 少し、先入観が勝って勝ってしまっているのではないでしょうか?
そして、 未だにそんな方が、初めて着物を買おうと考えて来店したお客さんに、木綿の着物の本来の商品価値を下げるような接客をし続けているのでは? という危惧です。
絹布には絹布の魅力があります。 そして、絹布以外の生地にもそれぞれ魅力があります。 産着から死に装束まで、すべてのシーンの着物を取り扱う専門店の存在も大切ですが、木綿やウールなどの魅力を伝える、「太物屋」さんがもっと増えて欲しいと、切に思います。
川越唐桟取り扱い店 呉服笠間 https://www.gofukukasama.shop/